田中宇の国際ニュース解説 会員版(田中宇プラス)2016年10月10日

この内容、現況としては最も妥当なような気がするね。
妥当とは、妙な変更がない、ユダヤ、アメリカ、企業よりということ
参考までに全文貼り付けます。
でも気をつけて、自分でちゃんと裏をとり分析して確実なもの以外はすべて無視してね。
これ、情報学の基本よ。
で、わからないときは、不明として距離を置くこと、確実で裏が取れるもののみ自己責任で信用することですよ。
裏がとれたかどうかは第三者に話すことですな、できないときは未確認として扱うこと、くれぐれも慎重に。

以下 参考までに

田中宇の国際ニュース解説 会員版(田中宇プラス)2016年10月10日
http://tanakanews.com/

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★米覇権の行き詰まり
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 11月8日の米大統領選挙の投票日まで1か月を切り、米国を支配する軍産複
合体の言いなりにならないトランプ候補を引きずりおろし、軍産と結託するクリ
ントン候補を有利にしようとする動きがさかんになっている。10月8日には、
トランプが05年に発言したひわいな会話を録画したものが、ワシントンポスト
によって公開された。ワシポスはトランプ敵視を以前から表明している新聞だ。

http://www.washingtonpost.com/politics/trump-recorded-having-extremely-lewd-conversation-about-women-in-2005/2016/10/07/3b9ce776-8cb4-11e6-bf8a-3d26847eeed4_story.html
Trump recorded having extremely lewd conversation about women in 2005

 マスコミや民主党陣営はいっせいにトランプを非難し、共和党の上院議員らも、
トランプは立候補を取り下げるべきだと次々に表明した。副大統領候補のペンス
までが、トランプを非難した。新聞は、彼の選挙運動はこれで破綻したとする
分析を流した。だが、草の根の支持者の間では、トランプ人気がほとんど下がっ
ていないようだ。トランプが猥雑な発言の人であることは支持者の多くが知って
いる。11年前、トランプはテレビのタレントとして、他のテレビ業界人と一緒
にスタジオへ移動中の車中での会話だった。

http://www.nytimes.com/2016/10/09/us/politics/donald-trump-campaign.html
Lewd Donald Trump Tape Is a Breaking Point for Many in the G.O.P.

http://www.politico.com/story/2016/10/politico-morning-consult-poll-229394
Trump Support Drops Just One Point After Video

http://www.zerohedge.com/news/2016-10-09/snap-poll-finds-vast-majority-gop-voters-stand-behind-trump-after-lewd-comments
Surprise Poll Finds Vast Majority Of Republican Voters Support Trump After "Lewd Comments"

 共和党の議員たちがトランプ不支持を表明しても、党内民主主義のもとで、彼
らは少数派でしかなく、象徴的な意味しかない。誇張報道するマスコミにとって
は格好の材料だが、トランプに立候補をやめさせる力を持たない。

http://www.zerohedge.com/news/2016-10-08/republican-national-committee-begins-redirect-funds-trump
Republican National Committee Begins To Redirect Funds From Trump

http://edition.cnn.com/2016/10/09/opinions/trump-tape-doesnt-matter-opinion-robbins/
The Trump tape doesn't matter

 トランプの卑猥発言公開とほぼ同時期に、ウィキリークスが、クリントンの選
挙参謀であるジョン・ポデスタが送受信したメールの束を暴露した。ビル・クリ
ントンが大統領だった時の対露関係を利用して、クリントン基金がロシアの国営
企業ウラニウムワンから、企業買収絡みでキックバックをもらったことが発覚し
た。また、ヒラリー・クリントンが金融界からの巨額の講演料(献金)の見返り
に行った非公開の講演で何を話したかも暴露された。だが、これらの件はマスコ
ミであまり大きく報じられず、トランプの猥談の方が大きく非難された。

http://www.zerohedge.com/news/2016-10-07/wikileaks-releases-hundreds-exceprts-hillary-clintons-wall-street-speech-transcripts
Wikileaks Releases Hillary's Paid Wall Street Speech Transcripts: Hundreds Of "Sensitive" Excerpts

 10月9日に行われた、トランプとクリントンの2度目の討論会では、トラン
プの発言に対して司会者がさかんに介入した。シリア情勢について、トランプは、
米国がISISを殺すことに消極的なのと対照的に、ロシアやアサド政権やイラ
ンがISを殺しており(評価でき)米国もロシアと一緒にIS退治をやるのが
良いと指摘したが、司会者は、それを政策でないとしてさえぎった。

http://dailycaller.com/2016/10/09/debate-moderator-feuds-with-trump-rebuts-his-syria-answers/
Debate Moderator Feuds With Trump, Rebuts His Syria Answers

http://www.businessinsider.com/martha-raddatz-donald-trump-syria-2016-10
'Let me repeat the question': Martha Raddatz jumps into relentless debate with Trump over Syria

http://www.nbcnews.com/storyline/2016-presidential-debates/presidential-debate-analysis-donald-trump-rallies-faithful-2nd-showdown-n663441
Presidential Debate Analysis: Donald Trump Rallies Faithful in 2nd Show
down

 9月末の1回目の討論会では、トランプの健康状態を悪く見せるため、トラン
プの発言の時だけ鼻をすするような効果音が主催者の音響担当者によって混入さ
れていたと指摘されているが、2回目の討論会でも、鼻をすするような音がトラ
ンプの発言に混入されていた。米議会、マスコミなど軍産の勢力は、何とかトラ
ンプを落とし、クリントンを当選させようとしていることがうかがえる。トラン
プは、シリア内戦に関して(テロリストを擁護する米国でなく)テロリストをき
ちんと退治しているロシアやアサドやイランが正しいと語り、軍産(マスコミ)
が発するウソを認めず、軍産に楯突いている。クリントンは(露企業からキック
バックをもらう一方で)ロシアを敵視し、シリア内戦で悪いのはロシアだと言い
続けている。

http://patriotrising.com/2016/09/27/trump-complains-hostile-questions-debate/
Trump complains of `hostile questions' during debate

▼トランプは無策でも軍産を無力化できる

 トランプが当選したら軍産の危機だ。だから軍産(マスコミや議会)は、必死
でトランプを蹴落とそうとしている。だが、草の根からの強い人気を維持するト
ランプを落選させられるかどうか怪しい。投票日が近づくにつれ、トランプ潰し
の動きが露骨になり、米国の民主主義がおかしなことになっていると、より多く
の人が気づくようになる。軍産の延命のあがきが、米国に対する国際信用の基盤
になっていた民主主義を破壊しようとしている。

http://tanakanews.com/160804trump.php
米大統領選と濡れ衣戦争

 米国の主要な新聞100紙の中に、社としてトランプへの支持を表明したとこ
ろは一つもない。いくつかの新聞は「トランプでなければ誰でも良い」と表明し
ている(クリントン支持は17紙)。マスコミ(軍産)の本音は、クリントン支
持でなく、トランプ阻止だ。「主要新聞から全く支持を得られないのは、トラン
プが質の低い落選すべき候補者であることを示している」という「常識的」な見
方もできる。

http://en.wikipedia.org/wiki/Newspaper_endorsements_in_the_United_States_presidential_election,_2016
Newspaper endorsements in the United States presidential election, 2016

http://www.zerohedge.com/news/2016-10-05/newspapers-shun-trump-not-single-endorsement-top-100
Newspapers Shun Trump - Not A Single Endorsement From Top 100

http://tanakanews.com/160828trump.php
米大統領選挙の異様さ

 だが、より深く考えると、トランプが草の根に支持されるのは、911以来、
マスコミや政界など米国の支配層(軍産)が、自分たちの権益維持のため、国際
的な善悪や経済状況を歪曲し、中東の戦争や露中敵視、リーマン危機とその後の
金融延命策(QEマイナス金利)、違法移民流入放置、社会保障制度崩壊放置な
ど、間違った政策を重ね、米国民の生活が悪化し続けたからだ。多くの米国民が、
マスコミや政界による歪曲やウソを指摘するトランプを支持し、マスコミや政界
に支えられたクリントンと拮抗している。マスコミがトランプを嫌うのは、自分
たちの歪曲やウソを指摘する危険人物だからだ。

http://tanakanews.com/160511trump.htm
トランプ台頭と軍産イスラエル瓦解

 マスコミのウソや歪曲は、マスコミが始まった当初の19世紀から存在する。
国体護持(国民だまし)のため、マスコミや政界のウソや歪曲は必要悪であり、
従来は国民に一定以上の迷惑をかけないように行われてきた。ウソや歪曲がひど
くなったのは、米国が覇権国になった第二次大戦後、持続的な低強度戦争(冷戦、
テロ戦争など)によって米国の権力を維持したい軍産複合体が無茶をするように
なったからだ。

(戦争の強度を上げすぎて失敗させた)ベトナム戦争やイラク戦争、米中和解、
冷戦終結、(バブル崩壊の意図的な悪化策としての)リーマン危機などからは、
軍産支配を打破しようとする(隠れ多極主義の)勢力が米中枢にいることを感じ
させ、彼らと軍産との暗闘も、軍産の無茶に拍車をかけ、ウソや歪曲の激化にな
っている。ウソや歪曲の激化は、軍産支配や米国の覇権そのものを危機にさらし、
行き詰まらせている。その一つの象徴が、今年の米大統領選挙であると言える。

http://tanakanews.com/160301trump.htm
ニクソン、レーガン、そしてトランプ

 トランプが大統領になったとしても、それで軍産が無力化されるわけではない。
米議会やマスコミは、依然としてトランプ敵視のままだろう。議会は、トランプ
の新たな政策を超党派で阻止する傾向になり、マスコミはトランプの揚げ足取り
に終始するだろう。トランプは、レーガンのように、反軍産なこと(冷戦終結な
ど)をやりつつ軍産に好かれて2期やる大統領になりたいようだが、当時の米国
は覇権の主流を軍事から金融に切り替えて成功したのと対照的に、今の米国は
金融も崩壊寸前で、状況が全く異なる(トランプの斬新性と、米国の政治伝統が
斬新性を好むことから考えて、当選したら2期やりそうな感じもするが)。

http://tanakanews.com/160927trump.php
優勢になるトランプ

 とはいえ、軍産の無力化を手がける大統領は、トランプが初めてでない。ブッ
シュ政権は、イラク侵攻で、国際信用力や派兵余力などの軍産の力を浪費した
(ネオコンはそれを意図していたのだろう)。オバマは、核協約を結んでイラン
を強化して中東支配に乗り出すよう誘導したり、13年にシリア空爆を途中で放
棄して中東での米国の信用を(わざと)落とした挙句、ロシアを説得してシリアに
軍事進出させ、中東の支配権を露イランに与えたりした。いずれも、米国の軍事
覇権を低下させ、軍産の力を削いでいる。軍産は、オバマがイランやシリアに関
して行った「へま」を批判し続けている。トランプは、オバマの「へま」を継承
・拡大していけば、軍産をさらに無力化できる。議会の協力は、それほど必要で
ない。

http://tanakanews.com/151221syria.htm
シリアをロシアに任せる米国

http://tanakanews.com/130903syria.php
米英覇権を自滅させるシリア空爆騒動

▼中東も中国包囲網も金融も行き詰まり

 シリアでは、ロシアとアサドの軍がアレッポのテロ組織を猛攻撃しており、米
政界では、米軍もアレッポを空爆するなどして露アサドを阻止せよという主張が
出ている。しかし米政界は、核戦争に発展しかねないので、ロシアと戦争したが
らない。米軍は、すでに9月末にアサド軍を空爆しているが、これを継続的にや
るとロシア軍が介入してきて米露戦争になる。だから米国はシリアを空爆できな
い。シリアはロシアのものになってしまっている。シリアにおいても、米国の覇
権は行き詰まっている。米政界の人々(議員、シンクタンク、マスコミ)も、そ
れを知りつつ「空爆しろ」と口だけ動かしている。トランプは、10月10日の
討論会で、シリアはすでにロシアのものなので空爆できないと述べている。この
点に関し、米政界の人々は歪曲的だが、トランプはそうでない。

http://tanakanews.com/160930syria.php
シリアでロシアが猛攻撃

http://www.counterpunch.org/2016/10/07/pentagon-begins-low-intensity-stealth-war-in-syria/
Pentagon Begins Low-Intensity, Stealth War in Syria

http://www.rt.com/news/361586-russia-s300-supplied-syria/
Moscow delivers S-300 missile system to Syria for defense of Russian naval base

 米国覇権の行き詰まり見て、同盟国だったトルコやフィリピンの大統領が、米
覇権からの離脱によって自分の権力を強化することを試みている。これも、米国
の覇権の行き詰まりを象徴している。彼らの成功を見て、真似をする権力者が他
の同盟国でも出てくる可能性がある。フィリピンのドゥテルテ大統領は、米国を
批判する発言を繰り返すほど支持率が上がり、76%になっている。

http://www.presstv.ir/Detail/2016/10/06/487893/Philippines-Rodrigo-Duterte-poll-Social-Weather-Stations
Popularity of Philippine President Duterte at 76%: Poll

http://tanakanews.com/160726mideast.htm
中東を反米親露に引っ張るトルコ

 今後米軍はフィリピンに駐留できなくなりそうだが、それは南シナ海における
米国の中国包囲網策にとって決定的な打撃だ。南シナ海に近いフィリピンを失う
と、米軍は遠いグアムから飛んでこねばならない。前アキノ政権時代のフィリピ
ンは、米国の好戦策に迎合して対米従属を強め、南シナ海紛争に関してASEAN
で最も反中国的な国だった。

http://tanakanews.com/161005philippines.htm
フィリピンの対米自立

 米国は、北朝鮮政策でも行き詰まっている。実のところ、米国は、03年から
北朝鮮の核問題の解決を中国に任せており、北に対して何もできない状態に自国
を追い込んで久しい。対北政策における米国の行き詰まりは10年以上前からの
ことだ。だが、米政府やマスコミは、米国が北に核廃棄させる意志や方法がある
かのように言い続け、日本の政府やマスコミもその線で他力本願を演じ続けてき
た。トランプもクリントンも、北の核は中国が解決すべき問題と言っており、今
後もこの傾向が続く。

 金融面も行き詰まり感が強まっている。米欧日は金融システムが「超緩和中毒」
になっており、超緩和策(QEやマイナス金利)を縮小すると金融が破綻する
(米国はドルの強さが必要なので、日欧に超緩和策を肩代わりさせている)。破
綻回避には、超緩和策を永遠に追加し続けることが望ましい。だが、日銀も欧州
中銀も行き詰まっている。今春来、超緩和策の追加は見送られ続けている。欧州
中銀が年末にQEを縮小するかもしれないという報道が流れ、株や債券が下落した。

http://www.ft.com/content/026bf776-8a70-11e6-8cb7-e7ada1d123b1
Nervous markets question outlook for ECB's bond buying

http://blogs.barrons.com/asiastocks/2016/10/04/will-ecb-announce-tapering-in-december/
Will ECB Announce Tapering In December?

http://www.wsj.com/articles/ecb-sees-rising-scarcity-of-bonds-for-qe-program-1475755029
ECB Sees Rising Scarcity of Bonds for QE Program

 先日ドイツ銀行の危険性について書いた。その後、ドイツ銀のCEO(John
Cryan)が訪米して米司法省と和解金の引き下げについて交渉したものの、話を
まとめられないまま帰国した。話がまとまるものとの期待から、ドイツ銀の株価
は25%上がった。司法省との和解金交渉がまとまらない状態が続くと、また株
が下がり、金融システム全体にとって不安が増す。ドイツ銀は資金に余裕がある
はずと言われてきたが、最近、条件が悪いのに債券を無理やり発行しており、本
当に余裕があるのか懸念されている。

http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-10-08/deutsche-bank-s-cryan-doesn-t-reach-accord-with-u-s-bild-says
Deutsche Bank CEO Hasn’t Reached Accord With U.S., Bild Reports

http://tanakanews.com/161003deutsche.php
米司法省が起こしたドイツ銀行の危機

 10月7日には、金地金市場の暴落も起きた。ロンドン市場で金先物の巨大な
売りが投じられた。株や債券など信用ベース(紙切れ)の金融市場に不安が増し
ている今のような状態は金相場の上昇要因になるはずが、その逆になっている。
金相場を先物(紙切れ)を使って急落させることで、信用ベースの金融市場を防
衛(延命)させる策を、金融界(中銀群?)が採っている感じだ(金相場は円ド
ル相場と相関しており、日銀がやっているのかも)。金地金の買いが増え、上昇
方向の相場操作力を持つようになった中国が、ちょうど建国記念(国慶節)の連
休だった時を狙って暴落を引き起こしている。

http://www.shtfplan.com/headline-news/here-is-one-very-simple-reason-for-why-gold-and-silver-were-massacred-this-week-and-why-they-will-rise-soon_10072016
One Very Simple Reason For Why Gold And Silver Were Massacred This Week

 暴落によって、金地金に向かいそうな投資家の気持ちを潰さないと、紙切れ市
場から地金市場に資金が移りかねないので、先制攻撃で地金相場を暴落させたと
考えられる。本質的に、危ないのは地金でなく債券の方だが、地金潰しはこれで
終わりと考える根拠はなく、今後まだ何度か繰り返し潰されるかもしれない。最
終的には、QEによって大膨張した債券バブルがいずれ大崩壊せざるを得ず、そ
の時に地金が急騰する(政治的に地金取引が禁止・制限されなければ、の話だが)。

http://tanakanews.com/160904dollar.php
さよなら先進国

 などなど、上記のすべての動きは「米国覇権の行き詰まり」を示すものだ。覇
権の「崩壊」の前に、方向感にとぼしい「行き詰まり」の感じが強まっている。
何が起きているのか、俯瞰的に見ないとわからない。マスコミは解説部分の歪曲
がひどくなり、意図的に間違った意味づけやシナリオを描いてみせるインチキ解
説に出くわすことが増えている。金融や景気動向、シリアなど対露関係が、とく
にひどい。インチキ解説の増加は「軍産の行き詰まり」を示している。




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